コンサルティング能力を持った人材が求められています。

社会保険労務士資格は、高度成長期の日本において昭和43年に誕生しました。その後、行政書士や他の国家資格との棲み分けを図るために、厚生労働省が主管する国家資格として、現在の社会保険労務士が誕生しました。
社会保険労務士の業務は多方面にわたり、社会保険・人事・労務管理の専門家として、企業経営の四要素(ヒト・モノ・カネ・情報)のうち、ヒトの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに老後の年金を含む生活設計などの相談に応じる、ヒトに関するエキスパートです。

ますます広がる活躍分野

業務の拡大 社会保険労務士法人
社会保険労務士の業務を組織的に行うことを目的として、複数の社会保険労務士が共同して設立することができるようになりました。裁判外紛争解決等、今後さらに多様化する社会のニーズに対応するため、個人の社会保険労務士では限界がある業務も、組織的に行うことで業務の拡大が図れ、スペシャリストとしてますます活躍分野が広がっていくことでしょう。

あっせん代理 裁判外紛争解決(ADR)
裁判外紛争解決とはADR(Alternative Dispute Resolution)とも呼ばれ、仲裁、調停、あっせんなどの裁判によらない紛争解決方法のことです。社会保険労務士も平成15年4月より、個別労働紛争について、紛争調停委員会において、紛争当事者に代わり意見の陳述を行うことができるようになりました。(あっせん代理)労務管理のエキスパートとして社会保険労務士への期待がますます高まり、今後活躍分野がさらに広がっていくことでしょう。

社会保険労務士とは?

■人事労務管理のコンサルティング

企業の業績アップには、年棒制や能力給等の導入といった賃金体系の変更、能率を上げるための労働時間制など、働く人の能力を活かせる職場づくりへの工夫が欠かせません。社会保険労務士は、その職場の実情を専門家の目で分析し、きめ細かいコンサルティングを行います。

・就業規則等の作成、変更 ・労働時間、休日等の労働条件 ・賃金制度の設計 等 を中心にコンサルティングを行います。

■年金相談

少子高齢化時代を迎え、年金に対する不安がかつてないほど高まっています。年金は、個人が加入している年金の種類や期間などにより支給額が異なる上に、法改正や制度自体の変更などにより、見込み支給額が増減することもありえます。社会保険労務士は、こうした年金のしくみや受給資格などについて熟知しています。年金のプロとして社会保険労務士が活躍できるフィールドです。

・年金の加入期間、受給資格等の説明 ・年金の請求に関する書類を依頼人の皆様に代わって作成 ・行政機関への請求書提出

■労働社会保険手続きの代行

労働社会保険関係の手続や給与等の計算、手続きは手間がかかり、非常に複雑なので企業にとっては大きな負担のひとつです。専門的な知識を持った社会保険労務士は、このような労働社会保険手続をすばやく正確に行います。

・労働社会保険の手続 ・各種助成金の申請 ・給与計算、労働者名簿、賃金台帳の調整等

社労士資格取得後の2つの道

試験合格実務経験【実務経験2年以上もしくは実務研修(事務指定講習)修了】 → 登録・入会(全国社会保険労務士連合会に登録し、都道府県社会保険労務士会に入会) → 独立開業 または 企業内社労士

独立開業

独立開業は社労士の魅力の一つ。自分でやりたいように仕事ができ、稼ぎも自分次第です。しかし、独立してもお客さんは待っているだけでは来ていただけませんので、自ら顧客を開拓しなければなりません。社労士は独占業務があるという意味ではうまみのある資格です。しかし、競争相手が同じ社労士同士になるため、競争相手に勝たなければなりません。そのためには「顧客にどのような情報を提供すれば喜ばれるのか」を考え、常に最新情報を入手しておく必要があります。

企業内社労士

「社労士の資格を取得して独立」だけが資格を活かす手段ではありません。社労士の資格は、会社のスペシャリストとして活躍する企業内社労士という道があり、最近特に重要性が増しています。人事、労務、社会保険の専門家として人事・総務部や保険会社における営業マン、金融機関での年金相談窓口など、活躍の道が広がっています。また、就職や転職の際には非常に有利になります。